鉄と鉄がぶつかり合う音。叫び声。草と土が踏みにじられる湿った音。悲鳴。鉄が肉を裂く音。苦しげな呻き。
目の前の敵。周囲の敵。それと交戦する部下。何処か遠くで上がる火の手。
金属臭、土の匂い、血臭、何かが焦げるような臭気。
乾いた口腔に広がる、血の混じった唾液の味。
唯一剥き出しの顔に吹き付ける風に乗るのは、生み出される死の気配。
五感全てが、戦場の感覚を受け取っている。
それに呑まれぬよう心の芯に力を入れるソラスの元に、また伝令が走り込んできた。
「報告です! 第四小隊押されています、戦線が後退しています!」
「分かった、第一小隊は今の敵を撃破後、第四小隊の援護に。長弓部隊は引き続き敵軍本隊やや前を狙って射撃、敵を分断させるんだ」
ソラスの指示を受け、伝令は踵を返して走り出す。彼の部隊は今、砂の砦を前にして、グランオルグ軍と相対していた。ソラスは自らも武器を取って戦いながら、周囲に展開した小隊に絶え間無く指示を送っている。張りつめた緊張感がソラスの身を焼く、常に死の恐怖に曝されている状態は、心身に酷い負担を強いていた。それでも崩れず戦い続けられるのは、健気にも戦い続ける彼の部下達、そして背後に控えたラウルの存在があるからだろうか。彼はソラスよりも後ろ、前線から一歩引いた位置に立って全体を眺めつつ、今動いている軍の全てを統率している。
ソラスもけして視野が狭いほうではない、しかし大きく広がった戦場全てを把握し、的確に指示を出すのは相当に難しいことだ。それをラウルは苦もなくやってのける、現に今この時も。
「報告です、第四小隊に援軍!」
「……ラウルのところだな、よし! 第四小隊は援軍と足並みを揃えろ、もう少し戦線を押し返すんだ!」
時を計ったかのように差し向けられた援軍に、ソラスは戦いの最中であるにも関わらず笑みを零した。周囲の兵も、統率者が見せた見事な指揮に意気を上げ、目の前の敵を打ち倒さんと戦闘に臨んでいる。このまま勝ち戦に持ち込めるか、そんな希望が兆したが、戦場というのはそこまで簡単に物事が運ぶものではない。ソラスの元に新たな伝令が駆け込み、凶報に分けられる類の報告を告げてきた。
「ラウル少将より伝令、敵の増援発見! 位置はソラス隊第三小隊近く、規模は一個小隊ですが重装甲兵と通常部隊の混成。ソラス隊にて防衛せよ、とのことです!」
「……! 防衛せよって、簡単に無茶を言ってくれる……」
ソラスが唇を噛む、重装甲兵はグランオルグ軍の戦力の要、鉄壁の鎧に身を包んだ彼らを普通の兵が迎え打つことは難しい。今回現れたのは通常部隊との混成であり重装甲兵自体の数は少ないようだが、それでも部隊の能力は段違いに上がり、ぶつかる側はかなりの危険を伴うことになる。しかしソラスは迷うことなく伝令を呼び寄せ、新たな命令を叫んだ。
「第一小隊に伝令、進軍方向を変更。第三小隊付近に敵増援到着予定、それを防いでくれ!」
発せられた内容にに伝令は表情を厳しくし、敬礼を残して走り出す。重装甲兵を含む部隊に一個小隊を直接ぶつけるなど、普通に考えれば無謀と思われても仕方ない采配だ。しかしソラスには勝算があった、第一小隊は彼――ロッシュが率いる部隊なのだ。幾度かの厳しい戦場を潜り抜け、その度戦果という形で結果を残してきた今、彼らの部隊が持つ力を疑う者は居ない。長であるロッシュの卓越した戦闘能力と指揮能力の元で、この小隊は今のところ負け知らずの戦歴を叩き出してきた。重装甲兵が混じるとはいえ、一個小隊相手に引けを取ることはないだろう。
とはいえ、ソラスも彼に全てを任せて安穏としているつもりはない。
「第三小隊は戦線を維持しつつ横に移動、圧力をかけてくれ。長弓部隊の半分は敵援軍に向かって一斉射撃、交戦開始前に出来るだけ数を減らす。第五部隊も前に出るぞ、全体で押し返すようにするんだ!」
ソラスの指示に、周囲に展開していた第五部隊から、応の叫びが返る。部下達の奮起を受け、ソラスも剣を握る手に力を込めた。足を踏み出し、指令を出すために退いていた前線を目指す。具足の下で土が抉れ、一瞬湿った土の臭いが漂ったが、直ぐに慣れた金属臭にかき消されてしいまった。
どんなに戦場に慣れても、恐怖が消えるわけではない。戦いへ恐れは常に身の内にある、けれどそれを共に戦う仲間に対する義務と信頼が上回る。身に纏わりつく冷えるような気配を振り解くように、ひとつ大きく声を上げ、部下の戦う前線へと飛び込んでいった。
――――――
――廊下を歩きながら、ソラスは何となく天井を見上げた。戦場から戻った後は、いつも何処か頭が回らないような、漠然とした倦怠感が残る。生死を賭けた極端な緊張から解き放たれた反動なのかもしれない、1週間前まで立っていた戦場の感覚が、未だソラスの五感を侵しているのだ。アリステル城に帰り着いたのが昨夜遅く、その事後処理も終わらぬうちとあって、それは尚更強い。歩いていてもどこからか戦いの臭いや音が追いかけてくるようで、ソラスはぶるりと身を震わせた。
元々感情の切り替えは得意なはずなのだが、残留する戦場の気配だけは今のところ克服できる気配がない。だがそれにかまけて仕事を疎かにするわけにはいかなかった、戦いは勝利で終わったがそれで事務処理の量が減るわけではないし、まして研究が進むわけでは全くないのだ。
ソラスは溜息を吐きつつ、研究室のある地下に降りようと、階段へ足を向けた――と、角を曲がったところで人と突き当たりかけ、慌てて身を引く。
「っ――」
「おや、ソラス大尉」
その人物が誰であるかを認識した途端、ソラスは素早く姿勢を正した。色黒が目立つ禿頭と、50半ばにして未だ頑健な肉体に鎧を纏った姿を、アリステルの中で知らぬ者は居ない。ノアの代弁者、そして同時に軍の最高指令官の地位に就いている男を前にしては、さすがのソラスも普段の自然体を貫くわけにはいかなかった。背筋を伸ばし、ラウルに対するものとは違う、整った敬礼をする。
「ヒューゴ大将。お疲れさまです」
「大尉こそ、出陣ご苦労だった。帰還したのは昨日だったか?」
「はい、昨夜に」
「報告は受けている、見事な勝利だったそうだな。さすが、アリステル研究部の誇る若き天才だ」
「……勿体無いお言葉を。自分は戦場では一軍人に過ぎません、上官と部下に恵まれた結果です」
底知れぬ強さを持った視線を注がれ、ソラスは相手に知られぬ程度に身構えた。彼がこの大将と話すのは、初めてのことではない。ヒューゴは魔動工学の軍事転用に非常に力を入れており、研究所の長たるフェンエル技師とも懇意なのだが、ソラスもその関係で何度か直接言葉を交わしたことがあった。そしてその度思うのだ――この男に隙を見せてはいけない、と。
「ラウル中将か。確かに彼の力も見事なものだ、将軍就任以来負け戦を知らない……」
「…………」
「彼も君も、アリステルにとっては宝と言って良いな」
薄い笑みを浮かべたヒューゴに、黙ったまま頭を下げる。フェンネルなどはヒューゴのことを、研究に対する金払いの良さから単純に評価しているようだが、ソラスは彼のように無邪気になれなかった。聖人ノアの言葉を伝える代弁者であるこの男は、しかしその立場から想像できる清廉潔白な印象をもたない。元政治家という経歴がそうさせるのか、人を道具としてしか見ないような酷薄さが、その態度から透けて見えていた。
勿論ソラスとて、上に立つ者が多かれ少なかれ同様の性質を持つという事実は理解している……いや、実感している。優秀な研究者である彼は、権力者にとって実に魅力的な駒に見えるらしく、利用価値を求める視線には慣れ親しんでいた。何しろ友人であるラウルですら、彼のことをそういった目で見ることがあるのだから、慣れざるを得ないだろう。しかしヒューゴの持つ欲は他人のそれに比べても格段に強く感じられ、言動に一々身構えずには居られないのだ。
「これからもラウル中将と共に、アリステルのために励んでくれ」
「はっ……」
「そう、それと、これはまだ正式な話ではないが」
そう断り、ヒューゴは一度言葉を切る。一瞬の沈黙に、ソラスは怪訝な顔を浮かべ、ヒューゴの様子を伺った。その態度に満足したのか、ヒューゴはひとつ頷き、言葉を続ける。
「近々、ラウル中将に大きな作戦行動を指揮してもらう予定だ」
「…………」
「その時は勿論、君にも働いてもらうことになる。心しておいてくれ」
ヒューゴの言葉を、ソラスはゆっくりと咀嚼する。自分の反応を探る視線を感じる、それを浴びながらソラスは何も言わず、ただヒューゴに向かって敬礼を返した。
彼の態度が相手にどのような感をもたらしたのか、それは分からない。ヒューゴもそれ以上は話を続けようとせず、重々しく頷くのみに留まったため、ソラスの側から彼の内心を読みとることは出来なかった。
そしてそのまま、沈黙が2人の間に落ちる。
「では、失礼する。……活躍を期待しているよ」
冷たい静寂を破ったのはヒューゴの側だった。形式的な挨拶を発し、一瞥をソラスに与える。ソラスは深く頭を下げて応えた――ヒューゴの視線を避けるかのように。
「はっ……有り難うございます」
ソラスの礼を背にして、ヒューゴは廊下を歩いていく。それを見送り、後ろ姿が完全に見えなくなったことを確認してから、ソラスは大きく息を吐いて姿勢を崩した。
「……っはああ……」
嘆息に含まれる疲労の色は、上層部の人間と会話したが故のものではない。軍属の立場ではともかく、研究員としては上の人間と会うこともよく有ることだ。だから直属の上官以外の将軍と会話したところで別段緊張などはしないのだが、しかしそんな彼であっても、ヒューゴと相対するのは妙に消耗するものがあった。それは彼が持つヒューゴに対する強い警戒心がもたらすものだと分かっている、そして恐らくヒューゴの側でも、その事実を見抜いていることも。
嫌な男だ、心の中だけで呟く。周囲に人の気配は無いが、万が一他人に聞かれたらと思うと声に出す気にはなれなかった。それだけヒューゴの権力は広く及んでいる、元々はノアの言葉を伝える役目に因るものだっただろうが、今はそれ以上に彼の権謀術数の効果が大きい。政治のみならず軍の中にまで食い込んだ彼の影響力は、アリステルという国全体に及ぶといってすら過言でないまでになっていた。そしてそれほどまでに彼の力を増大させたのは、皮肉なことにグランオルグとの戦争なのだ。戦争がなければ、政治家が軍事に介入するなど許されなかった……少なくとも大きな反発を招いたのは確実だろう。今アリステルの中で、戦争によって利益を得たと言える人間が居るとしたら、その筆頭はヒューゴであるに違いない。
埒もない思考を振り切るように頭を揺らし、ソラスは改めて階下へ足を向けた。しかし彼のよく回る頭は、それくらいで止まってはくれない。階段を下りながらふと、先日ラウルに向かって投げかけた質問が頭を過る。戦争を終わらせる気があるのかと、ラウルはあの時当然のように肯定の意を示し、ついでに分かりきったことを聞くなと呆れてくれたものだったが。
(彼の御仁に聞いたら、何と答えるものかな)
それこそ、人に聞かれるところで口に出せる内容ではない。浮かんだ思考にソラスは皮肉げに口を歪め、階段を下りきった床に足を着けた。
そのまま、自室に向かおうと歩を進める――と、その動きがぴたりと止まった。地階に降りて直ぐは医療フロアだ、そこから連想される人物が、止める間もなくソラスの脳裏に浮かび上がる。
「……ソニア、居るかな」
ここ暫くは治療の手伝いで、医療部に出入りすることが多いと言っていたのだが。もし今も居るのであれば顔を見ていきたい、心身を疲れさせる相手と会った直後だからか、癒される存在には酷く引きつけられる。
そう、それに自分の隊は戦場から帰還したばかりだ、隊員の中で怪我が酷かったものが治療に訪れているかもしれない。それに同行してくれた回復部隊の者が戻っている可能性もある、彼らを労ってついでに報告のひとつも聞くのは、隊長であるソラスの責務だ。
「仕事だよな、仕事」
誰が見ているわけでもないのに言い訳がましく呟くと、ソラスは医療フロアの中を歩きだした。目指すのは治療が行われる病室で、怪我人を運び込む都合上、階段から直ぐの場所に作られている。薬のにおいが漂う廊下に立ち、ソラスは目的の部屋の前で一度足を止めた。浮き立つ心が表に出ぬよう表情を作ると、改めて扉に手をかけ、ゆっくりと隙間を作る。
「――何で黙ってたんですか!」
と、途端に飛び出してきた叫びに、扉を開く動きが止まった。室内から飛び出してきたそれは、間違いようもない、彼の大切な妹の声だ。しかも常の穏やかさを何処かに置き去りにしたような、憤りに満ちた語調で発せられている――それを理解した瞬間、硬直を脱したソラスは慌てて扉を開き、室内に飛び込んだ。
「ソニア、どうしたんだい!」
「あ、にいさ……ソラス大尉、丁度良いところに。大尉からもおっしゃってください」
病室の中に居たのは、ソニアと医療部の職員、それに数名の軍人達だった。やはり戦闘で得た傷を治療に来ていたのだろう、ソラスの部下達が、診察する空間を囲むように起立している。そしてその中央に位置し、何故か部屋全員の注目を受けているのは、診察椅子に座らされている見慣れた大柄な男だった。
「ロッシュ? 何事だい、一体」
ソラスの声に、ロッシュが振り向く。治療の途中なのか、彼の上半身を覆う衣服は完全に取り去られ、引き締まった肉体を曝していた。年齢以上の威厳を持つ厳つい顔は、しかし今はやや情けなさそうに歪められ、困惑の表情を浮かべている。訴えかけるような視線をソラスに投げつつ、彼は軽く首を傾げた。
「はあ、あの……」
「見てください、この怪我」
「ん、どれどれ」
その言葉を受け、ソラスは改めてロッシュに視線を向ける。成長期を終えて間もない身体は、上背の伸びに筋肉の発達が追いついていないのか、骨の上に引き伸ばされたような筋肉が張り付いたという様相だ。そんな肉に刻まれるのは、数多い古傷の跡……だがその中にいくつか、跡になり切らない新しい傷が混じっていた。肩口に、脇腹に、額に残されたそれらは、一週間前の戦で受けたものだろう。当然ながら血は止まっていたが、未だ生々しい皮膚の裂け目は、完治したなどと言えたものではない。
「今回の戦いで受けたのかい? 結構深いじゃないか、ちゃんと報告してくれないと」
「これを、治療もしないで放っておこうとしたんですよ!」
強い口調で言われ、ソラスは目を丸くした。改めて傷を検分する、どれも致命的ではないものの、放置して良い深さとも思えない。知らず視線が険しくなる、上司と医者から睨みつけられたロッシュは、大きな体を小さく縮めてしまっていた。それでも抗議の意を伝えようとか、何やらもごもごと口を動かしているが、ソニアが注ぐ怒りの視線を前にしてはそれも敵わない。結局何も言うことは出来ず、さらに身を小さくする結果となった。
「隊員の方が教えてくれなければ、そのまま行かせてしまうところだったんですから」
「……そうなのか?」
部屋の隅で、(何故か一緒に小さくなっている)隊員達に問うと、迷わず肯定の意が返される。
「戦いの中で、止血だけはしたんですけど。そのままちゃんと治療をする様子が無かったんで……」
「……ロッシュ」
「いや、でも治療はしましたし」
「止血だけでどうにかなる怪我ですか、これが!」
「ソニアの言う通りだ、戦場での応急処置は治療と言わないんだよ」
申し訳なさそうに身を縮めてはいるが、どうにも問題の本質を理解している様子の無いロッシュに、ソラスは大きく溜息を吐いた。
「何度も言っているだろう、もっと自分の身体は大事にしなさいって。特に今は、人の上に立つ身なんだから」
自分の身を省みないその態度は、ロッシュの唯一の欠点と言っていいものだ。彼は戦闘に関して高い能力を有するが、それが故に強敵や複数の敵を相手取ることが多く、傷を負う機会はけして少なくなかった。いやそれだけならまだ良い、問題なのは、受けた傷に適当な治療だけを施して放置することだった。後に残りそうな傷を放っておく姿を、ソラスが見付けて医療部に放り込んだことも、少なからずある。従軍直後からその性質は一切変わる様子を見せず、彼の能力を評価するソラスにとって、頭の痛い問題であり続けた。些か強引にロッシュを小隊長に任命したのは、実はその対策も兼ねてのことである。一定の責任を持つ立場に置くことで、あるいは自分を大事にするということを覚えてくれるかとも思ったのだが、残念ながら今のところ効果が出ていないようだ。
「はあ……」
「君の部下も心配しているよ。なあ?」
ソラスが並んで立つ隊員達に同意を求めると、彼らは揃って頷き返してくれた。周囲に彼を気遣う人間が増えたのは良い傾向だ、しかし本人の意識が伴わなければ仕方がないのだが。
そんな男達のやり取りを、ソニアは未だ怒りの治まらぬ様子で見守っている。医療を志す彼女にとって、自らの命を無碍に扱うようなロッシュの態度は、到底許せるものではないのだろう。普段は優しげな目元に烈火の怒りを湛え、不真面目な患者にぴしりと注意を叩きつける。
「とにかく、今後は怪我があったら医療部で治療を受けるようにしてください。どんな小さなものでもですよ」
「しかし、大したもんでもないのに、忙しいところを邪魔しちゃあ」
「大した怪我かどうか、それを判断するのは医者の仕事です!」
怒った妹の恐ろしさを知る身としては、睨まれ叱られるロッシュに些かの憐憫を覚えぬでもない。しかしこの場合は完全に彼の自業自得であり、さらにソラス自身も妹と同意見であったため、庇う余地は無く黙ってその様子を見守るに留める。
ソニアの怒りは未だ治まる様子は無いが、同時に医療に携わる者としての責務も忘れていないようで、厳しい叱責はそのままにロッシュの傷に手をかけている。この分では、しばらく報告を聞ける状態にはならないだろう。
「……じゃあ、ロッシュ。僕は部屋に戻るから、治療が終わったら報告を頼むよ」
「あ、はい。分かりまっ……てえ!」
しかし立腹した状態での治療は、常より大分乱暴な手つきで行われているらしい。痛みに引き攣るロッシュの表情を苦笑で流すと、ソラスは病室を辞し、今度こそ自分の部屋へと足を向けた。
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セキゲツ作
2011.07.08 初出
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