◆私立アリステル高等学校◆

伝説の教育者ノアが設立した私立高校。創立20周年程度の、比較的新しい学校である。
所属している職員は創立者であるノアの教育理念に賛同した者が殆どであり、理想に燃える教師が多い。
しかし現在、ノアは高齢のため公式の場に出ることはなく、校長のヒューゴが学校の方針を決めている。理想の教育を目指す教師達と、利権を貪る一部権力者の乖離が、潜在的な問題となって存在しているのが現状である。

「全ての子供に平等な教育を」という理念から、奨学金制度や寮が用意され、家庭に問題のある生徒の受け入れに力を注いでいる。
奨学金は、卒業後(進学した場合は大学卒業後)に返済。成績を一定以上に保つことが受給の条件だが、制限はあまり低くない(赤点無しとかその程度)。
また、寮に入った場合も、申請すればアルバイトが許可されている。

偏差値は校内でばらつきがある。上は極端に高く、下はまあそこそこという程度。
部活は盛んで、運動部文化部共に高い成績を収めている部が多い。
ただ生徒総数が少なく、選手層が薄いため、集団競技は弱い傾向にある。好成績を出しているのは大抵、陸上や武道などの個人競技である。


〜所属生徒〜

・ストック
3年4組/生徒会長/選択教科:政経・地理/男子寮在住

現生徒会長を務め、成績も優秀、素行も問題なしというスペックだけ見れば非常な優等生。
しかし非常に無口で無愛想であり、近寄りがたい雰囲気を纏っている。
その態度で教師や周囲の人間と衝突したことも少なくないが、友人や後輩によるフォローを受けて何とか普通に学園生活を謳歌している。
愛想は悪いが、その実非常に友人思いで情にも篤い。表に出ないが熱血で行動的。
端正な顔立ちであり、その優秀さもあって女生徒からの人気は非常に高い。しかし本人が色恋沙汰に興味を示す様子は無く、在学中恋人が出来たこともない。

ロッシュとソニアとは、入学前からの知り合いで親友同士。
特にロッシュとは学生寮で同じ部屋ということもあり、かなりの時間を共に過ごしている。
元々別の中学校だったのだが、自分の中学校の生徒とロッシュがトラブルを起こした際に2人と出会い、ロッシュとの殴り合いを経て親友になったという逸話を持つ。
それはもう劇的な殴り合いだったらしい。夕暮れの河原でお互い倒れこむまで殴り合う的な。

実は、アリステル高校のライバル校であるグランオルグ学園前理事長ヴィクトール(故人)の息子である。ストックというのも偽名で、本名はエルンスト。
父親との確執、グランオルグ学園現理事長である後妻との不仲、過干渉な叔父への反発などからグランオルグ学園に行かず、アリステル高校に進学することを選んだ。そのため、寮で1人暮らし。
非常に仲の良い妹が居り、家族の中で彼女とだけは頻繁に会っている。

進路希望は進学(法学部)。将来は学園を継がず、独立して身を立てる予定らしい。


・ロッシュ
3年5組/陸上部部長/選択教科:物理T・物理U/男子寮在住

長身と鍛えられた身体を持つ、体育会系な生徒。
気さくで面倒見が良い、頼りがいのある性格で、高い人望を持つ。特に部活の後輩達からは非常に慕われており、アルバイトをしながらであるにも関わらず部長を務めている。

家庭に問題があり、中学3年の半ばまでは素行不良で知られていた。喧嘩三昧の日々を送っていたが、グランオルグ中学の生徒とトラブルを起こしたことをきっかけにストックと出会い、諸々あって更正。彼の勧めで、奨学金制度と寮制度を持つアリステル高校への進学を決める。進路決定時は、偏差値的に合格は厳しいと思われていたが、ストックとソニアの地獄の特訓を受けて何とか合格ラインに到達した。入学後、ストックとは寮で同室になり、親友として長い時間を共に過ごしている。
家庭からの仕送りは無く、奨学金で学費を、アルバイトで生活費を賄っている苦学生。

基本的に頭は悪くないのだが、他のこと(アルバイトや部活)に時間が取られすぎて学業は疎かになりがち。奨学金の受給を打ち切られないように、試験前になるとストックやソニアに勉強を教えてもらっている。
陸上部所属で、種目は砲丸投げ。全国大会出場経験有り。アルバイトを辞めて競技に打ち込めば入賞も狙える素質があると言われているが、本人は生活を維持する方が重要らしく、アルバイトと部活の二束のわらじを続けてきた。

ソニアとは幼馴染で、現在両片思い中。生徒の中には、付き合うかどうかを賭けの対象にしている者が居るとか居ないとか。

進路希望は就職。多分自衛隊あたりに就職するものと思われる。


・ソニア
3年4組/生徒会副会長・科学部・園芸部/選択教科:生物・化学/女子寮在住

美貌、頭脳、優しさを併せ持つ、学校のマドンナ。
何よりその人柄の良さから、男女問わず高い人気を誇っている。
天才と称して過言でないほどの頭脳を持つ。この年にして既に研究所レベルの学術書を読破し、且つそれについての論文を仕上げられる程の才女。望めば海外留学、飛び級での博士号取得などは思いのままと思われるが、本人は日本での高校生活を楽しんでいるらしい。

ストックとロッシュとは、中学校以来の親友。さらにロッシュとは幼馴染で、長い間想いを寄せてきたが、相手の鈍さから未だに恋人関係に到れずにいる。
両親とは死に別れており、家族は歳の離れた兄が1人。この兄も、現在は渡米して企業の研究所で働いているため、現在は女子寮に入っている。

生徒会副会長を務めているが、主な仕事は対人能力に難のある会長の補佐。同時に科学部にも所属しており、時折教師のフェンネルと共に怪しい研究を行っているという噂がある。

進路希望は進学(医学部)。将来は医者になり、人のために働きたいと考えている。


・レイニー
2年1組/剣道部・生徒会書記/女子寮在住

活発で快活な女生徒。性別問わず気さくに接するさばけた性格の上、豊満な肉体を持っているため、男子生徒に非常に人気が高い。が、本人あまり気付いておらず、恋愛関係の経験値はかなり低い。周囲の友人には苦笑しながら見守られている。
マルコとは昔からの友人で、本人達曰く兄弟のような関係。異性として意識することは無いらしい。
生徒会に所属しており、会長のストックとマルコの3人で行動することが多い。ストックに想いを寄せているが、相手の鈍さと今の関係を壊したくない気持ちから、想いを伝えるのを躊躇っている。同じような境遇のソニアと気が合うらしい。

実はストックの叔父であるハインリッヒが、甥の様子を探るために送り込んだ密偵。両親を亡くしたとろを助けられたことから、ハインリッヒに非常な恩を感じて、その命令を受けて働いていた。しかし諸々あってハインリッヒとは袂を分かち、現在は奨学金とアルバイトで生活費を稼ぎ、普通の学園生活を送っている。


・マルコ
2年1組/科学部・生徒会会計/男子寮在住

愛らしい顔立ちと小柄な体躯から、マスコット的存在となっている男子生徒。
優しく穏やかな性格もあって女生徒からは人気が高いが、男性扱いはされていない。バレンタインには大量のチョコレートを貰うが、ほぼ全てが義理である。
レイニーとは昔からの友人で、よく行動を共にしているため、男子生徒からは羨ましがられている。が、とにかくマスコット扱いなため、あまり深刻にやっかまれているわけではない(むしろ少々哀れまれている感もある)。
趣味は薬学で、科学部所属。ソニアと一緒になってあれこれ実験を行い、周囲の者達を怯えさせているらしい。
穏やかだがしっかり者で、怒ると怖い。アリステル高校で最も怒らせてはいけない男だと言う者も居る。

レイニーと同じく、元々はハインリッヒが送り込んだ密偵。ハインリッヒの異常さには気付いた上で、生活のために従っていた節がある。彼も現在はハインリッヒの元を離れ、アルバイトをして自活している。バイト仲間のミメルとは、ちょっと良い仲らしい。


・キール
1年5組/陸上部、生徒会書記

やる気、元気、本気!が合言葉な一年生。
何事も全力で取り組む姿勢や、他のものが嫌がるような雑用でも進んで引き受ける態度から、上級生・同級生問わず評価が高い。陸上部では1年生の纏め役的存在で、忙しい部長のため日々駆け回っている。また同時に生徒会にも所属しており、こちらでもやはり雑用係として元気に働いている。
陸上部部長のロッシュが大好きで、生徒会長のストックを目標にしており、生徒会副会長のソニアと数学教師のビオラは憧れの人である。と言ったらレイニーとマルコに微妙な目で見られた。何ででしょうね?

ロッシュとはアリステル高校入学前からの知り合い。他校の不良に絡まれていたところを助けられてから懐くようになり、ロッシュを追いかけてアリステル高校進学を決める。因みにロッシュが更正後に知り合ったため、彼の不良時代の姿は知らない。ロッシュからストックの話を聞かされており、目標として定めるようになった。

陸上部での種目は短距離走。1年生にして県大会出場を果たすなど、中々良い選手らしい。
割と良い家の出身で、礼儀作法や家事全般を仕込まれており、雑用係に拍車をかけている。また密かな特技として、日本舞踊(剣舞)が得意という一面を持つ。



〜所属教師〜

・ラウル
47歳/政経担当教諭/陸上部顧問

穏やかでのんびりした人柄であり、滅多に怒ることはない。問題があれば理を説いて諭し、事を荒立てず収束させる姿勢は、信頼する生徒と軽んじる生徒の2種に分かれる。
押し出しの弱さから昼行灯扱いする者も居るが、その実非常な切れ者。元々は理想家で、ノアの名を掲げて利権を貪るヒューゴと対立していたこともあったが、今は表立っての反抗を控えている。

陸上部顧問であり、ロッシュと親しい。親元を離れている彼の後見人的立場にある。


・ビオラ
36歳/数学担当教諭/剣道部顧問

教員時代のノアの教え子で、彼の理想に感銘を受けて教師を志した。
厳しいが公正で、生徒のことを第一に考える教育姿勢であり、意外と気さくでお茶目。
男女生徒のみならず父兄からも熱狂的な支持を集めている。そのカリスマと美貌に、陰で密かに「女神」と呼んで崇める者も居るとか。
ヒューゴのことは快く思っていないが、ノアの名を信じる生徒や父兄達を見ると表立って逆らうこともできず、葛藤しながらも従っている。


・フェンネル
80歳/化学、物理担当教諭/科学部顧問

ノアの友人で、元々は企業で研究職に就いていたのだが、トラブルを起こして免職されたところをアリステル高校に引きぬかれたという経歴を持つ。
ややマッドなサイエンティスト。才能は素晴らしいが性格に大きく問題がある。高齢のため、という建前で本当は本人が研究の方に時間を使いたいため、授業はあまり持っていない。たまに行う授業は面白いが、試験問題が異様に難しいため、基本的にはフェンネルクラスに当たる=ご愁傷様、という認識。
因みに研究成果は企業に売られ、アリステル高校の財政を支えている。学校の経営には大きな発言権を持つのだが、本人研究以外のことには全く興味が無いため、ヒューゴに良いように利用されている現状。
ソニアの兄は元教え子で、非常に才能を買っていた。妹のソニアが、科学者ではなく医者を志しているのが不満な様子。


・ヒューゴ
60歳/校長

高齢で表に出ないノアに変わり、アリステル高校の全てを取り仕切る校長。
理想を語り、学校と生徒の為を思うような演説を得意とするが、その実我欲のために学校の利権を握っている。そのことに気付いているものは少なく、多くの生徒・父兄・教師は彼の語る理想の教育論を信じて学校生活を送っている。




◆私立グランオルグ学園◆

遡れば明治時代からの歴史を持つという、由緒ある学校。
しかし現在は、前理事長ヴィクトールの暴政や現理事長プロテアの放蕩により、荒れた校風になりつつある。
中高一貫教育で、生徒数はかなりの数。偏差値はあまり高くないが部活動は盛んで、特に厚い選手層を元にした集団競技で高い成績を収めている。
設備や施設は充実しているが、ヴィクトール以来新規導入や改修工事が行われていないため、徐々に古くなってきている。ヴィクトールの息子であるエルンストが在学していた時は、多少整備が行われていたが、彼が追い出されてからはそれも滞っている。
現在はヴィクトールの娘であるエルーカが中心となり、教育環境の改善を求めて、経営陣と戦っている。

アリステル高校の創立者であるノアは、この学園の出身。それが理由かは分からないが、アリステル高校とは犬猿の仲で、様々な大会で張り合う関係となっている。



〜所属生徒〜

・エルーカ
高等部1年C組/生徒会長・射撃部

前理事長ヴィクトールの娘で、1年生にして生徒会長を務める。
その能力は確かなもので、下級生で生徒会長という状態ながら、生徒達からは絶大な支持を集めている。
成績優秀、眉目秀麗とあり、憧れる者は多い。しかしあまりに能力が高すぎる故、高嶺の花と思われて手を出す相手は中々出てこない。また、もし接触を試みる者が居たとしても、生徒会を始めとした周囲の人間の鉄壁ガードによって引き下がらざるを得ない状態である。
生徒会役員を中心として、現経営陣に対して学校の運営改善を要求している。大人相手に一歩も引かず戦う姿から、密かに「レジスタンス」と称されているらしい。

家を出た兄とは、頻繁に連絡を取り合っている。長期休みの間などは一緒に時間を過ごすことも多い。


・オットー
高等部3年H組/生徒会副会長・剣道部部長

3年生、元生徒会会長だがエルーカの進学に伴い会長を辞し、今は副会長として彼女の補佐を行っている。
熱血で面倒見の良い体育会系な性格。同じクラスのウィルとは良い友達で、2人でボケた会話をしてはピエールに突っ込まれるという日常。
中学校時代は、エルンストの元で生徒会役員として動いていた。エルンストがアリステル高校に進学後、彼の意思を継いで経営陣と戦っている。


・ピエール
高等部2年K組/生徒会会計・弁論部

2年生、弁論部所属で、現生徒会きっての理論派。体育会系のオットーやウィルをうまく補佐し、エルーカの軍師的役割を担っている。
両親を失くし、小学生の妹を育てつつ高校に通っている苦労人。学費の支払いには苦労しているようだが、最近少し生活が楽になっているようだという噂も……?
オットーと同じく、中学時代からの生徒会役員。


・ウィル
高等部3年H組/生徒会書記・剣道部副部長

3年生、生徒会役員でオットーとは親友。
両親は元シグナス組の社員だが、現在は物故しており、一人暮らし。
性格は淡々としているようで意外と熱く、独特の妙なノリを待つ。時代がかった口調で話すためか、こっそり「武士」と呼ばれているとか何とか。
オットー、ピエールと同じく、中学時代から生徒会役員で、エルンストの友人だった。


・マリー
高等部1年C組/射撃部(マネージャー)

エルーカの世話役として、幼い頃からずっと付き従っている少女。
現在もその関係は続いており、生徒会で経営陣と戦うエルーカを支え続けている。
芯は強いが荒事は苦手、穏やかで女性的な少女。エルーカ人気に隠れて分かりづらいが、密かに彼女に想いを寄せる男子生徒も多い。



・パロミデス
高等部3年A組/アメフト部部長

高校生離れした身長と体格の持ち主。
アメフト部で主将を務めている。体格を武器にした荒々しいプレイが持ち味で、対戦相手に怪我をさせることも多く、付いた二つ名が「死神パロミデス」。
中学生時代、校内の球技大会でエルンストに怪我をさせたことがある。

自分が厳ついからか、美しいものに対する執着が強い。体育教師ディアスに付き従っているのを良く見かける。


・ペールゼン
高等部3年D組/サッカー部部長

サッカー部で部長を務め、成績もそこそこ良いという、目立たないがそれなりに優秀な生徒。
足が速く、部活では相手ピッチに切り込んでのゴールを得意とする。そのプレイスタイルから、付いた二つ名が「雷光ペールゼン」。だが実際は単独プレイよりもチーム全体の力を使っての戦略である。
中学校時は素行不良だった時代もあり、ロッシュとの因縁があるとかないとか。



〜所属教師〜

・プロテア
32歳/理事長

前理事長ヴィクトールの後妻で、ヴィクトールの死後理事長に就任した。32歳。
元々貧しい家の出身だったところをヴィクトールに見初められて結婚しており、生活レベルの劇的な変化に完全に金銭感覚が狂っている。理事長になってからは学園の金に手を付けることもあり、かなり問題のある経営態度を続けている。
ヴィクトールの子供たち(エルンスト・エルーカ)とは仲が良くない。家族としての確執もあるが、それ以上に学園の経営方針についてぶつかり合っているのが大きい。
ヴィクトールが他界した際、叔父のハインリッヒを後見人としてエルンストが理事長になるという意見もあったのだが、エルンスト自身がこれを固辞したため実現しなかった。その後、セルバンとディアスによりプロテアが理事長に祭り上げられ、現在に至る。

まださほどの年ではないが、ヴィクトールの死後も金銭的な贅沢はするものの、異性関係に問題があるという話は聞かない。ヴィクトールに対する愛情と貞節は持っているようである。


・ハインリッヒ(ハイス)
31歳/校長

前理事長ヴィクトールの弟。31歳。
ヴィクトールとは非常に仲が悪く、彼が理事長を勤めている間、アリステル高校で働いていたことがある。その時に使っていた名前が「ハイス」で、その頃知り合った者の中には、彼を未だにハイスと呼ぶ者も居る。
兄の死を契機にグランオルグに戻り、校長に就任した。しかし可愛がっていた甥はアリステル高校に進学してしまい、彼をグランオルグ学園に呼び戻すため、様々な手を尽くしている。
年齢は31歳だが、苦労をしてきたせいか非常な老け顔。50近くに見られることもある。

普通の教員の筈だが、何故か忍者のような隠密能力を持ち、周囲の人間に気味悪がられている。
非公式に雇っている手飼いの部下・密偵が何人も居るらしい。


・セルバン
28歳/政経教師/サッカー部顧問/生活指導担当

立場としては一教師だが、学園の経営陣として名を連ねる名家の出で、彼自身も若いながらも経営に携わっている。
頭が回り、水面下での工作が得意。前理事長ヴィクトールの死後、自らの傀儡とするため、後妻のプロテアを理事長に祭り上げた。しかし彼女の浪費癖は計算外だったようで、傾きかけた学園の経営を維持するのに苦慮している。
体育教師のディアスとは旧知の仲。共に学園を改革しようと誓い合った同士である。


・ディアス
29歳/体育教師/剣道部・アメフト部部長

セルバンと同じく、学校の経営陣として名を連ねている。しかし彼本人は経営に関してあまり興味がなく、専ら教師としての働きで学園を振興しようと努力を重ねている。
女性と見紛う程の美貌の持ち主で、女生徒や母親に非常に人気がある。しかし実際は外見に似合わぬ体育会系の肉体派で、最も得意としている剣道の腕は相当のもの。運動部の生徒の中には、彼のことを崇拝に近い感情で見ている者も居るらしい。
政経教師のセルバンとは旧知の仲。私事でも仲が良く、休日に一緒に街を歩いている姿を目撃されては、女生徒に騒がれている。




◆私立セレスティア学院◆

小学校から大学までの一貫教育を行う、上流階級向けの学校。
偏差値が高いが、排他的で他校との交流を殆ど行わず、長い間独自の校風を貫いていた。教師や生徒達も、他校生徒に対する偏見が強い傾向にある。立地場所も切り立った崖で阻まれた森の中と、そう簡単に訪れることのできない場所である。
しかし最近、僅かずつではあるが、他の学校との交流を行い始めているようだ。
部活のレベルは高く、特に吹奏楽やダンスなど文化系の部活は全国レベルの実力を持つ。また、弓道部のレベルも高い。



〜所属生徒〜

・アト
初等部3年

無邪気で天真爛漫、子供らしい甘えと我侭を振りまく愛らしい少女。幼い頃に両親を亡くしており、時折寂しがりな一面を見せる。
実はセレスティア学院理事長ベロニカの孫娘で、物凄いお嬢様。だが本人は全く意識しておらず、周囲の子供と同じように日常を過ごしている。ただ、大人に対しても呼び捨てで呼ぶなど、無自覚に育ちを露呈してしまうこともある。
運動神経は抜群。子供離れした脚力と腕力を持ち、大人が苦労して持ち上げる家具をひょいと持ってしまったりする。勉強はそこそこだが、祖父から聞いた古い話などはよく知っている。
また、あまり公言しないが強い霊感を持っており、周囲に居る自縛霊と会話することができる。また、彼らを「あるべき場所」に導いて成仏させることもできるのだという。

街で野犬に襲われているところを助けられたのをきっかけに、ストックに一目惚れ。懐いて纏わりついては、苦笑しつつ相手をしてもらっている。因みに助けてもらった時にはレイニーとマルコも一緒に居たらしいが、それに関しては特に反応無しらしい。


・リプティ&ティオ
初等部3年

不思議な雰囲気を漂わせる双子の姉弟。
口を開けば大人も驚くような知識と知性を見せるが、あまり人と関わらず、友人らしい友人も居ない。いつも弟と2人で行動しており、大人に対しても対等な口の利き方をするため、扱いづらい子供達だと認識されているようだ。
初対面のはずの大人に大して、昔から知っているような視線を向けることがある。また時折、「現代」では有り得ないはずの知識や記憶を語ることがあるようだ。


・リーズ
高等部2年/ダンス部

ダンス部のエースを務める女生徒。数々の大会に出場し、見事な成績を収めている。
身軽な動きと見事なプロポーションで舞う姿に心寄せる男子生徒も多い。
ダンスの大会で出会ったグランオルグ学園の生徒と恋に落ち、紆余曲折あって最近付き合うことになった。現在学校の壁を越え、密かな交際を続けている。

また、ダンス部顧問バノッサを経由しての繋がりで、アトの姉代わりを勤めている。


・エルム
高等部2年/剣道部部長

2年生、そして女子ながらも剣道部で部長を勤める女生徒。生真面目で潔癖な性格。
剣の腕を見込まれ、アトが街に出る時の護衛として付いていくことが多い。

友人で元剣道部部長であったサムラが、交流試合でアリステル高校に負けて修行の旅に出てしまって以来、他校の生徒に対してきつい態度を取っている。しかし最近はストックなどアリステル高校生徒との関わりを通じて、徐々に態度も軟化してきた。しかし基本的には荒い言葉を投げてしまいがちで、一部で「ツンデレ」扱いされている。


〜所属教師〜

・ガフカ
35歳/初等部教師

初等部で教師を務める男。
元拳法家で、フォルガ寺で修行していたが、禁じられていた他流試合を行ったために破門された。師範ガルヴァの伝手で理事長ベロニカに紹介してもらい、セレスティア学院に職を得る。
鍛えられた巨躯を持つが、心根は非常に優しく、生徒達に好かれている。時折街に出るアトの護衛を勤めることもある。

拳法の腕はかなりのもので、他流試合を受けた経緯も、フォルガ寺の誇りを損なわぬため、というもの。そのため破門された今でも、他の門下生達から非常な人望を集めている。

教師ではあるが、人の顔を覚えるのが非常に苦手。セレスティア学院生徒とフォルガ寺関係者以外は、あまり見分けがつかないらしく、服装や髪型などの特徴で固体識別をしている。


・バノッサ
42歳/高等部・音楽教師/ダンス部・吹奏楽部顧問

高等部で音楽を教える教師。その繋がりで、ダンス部と吹奏楽部の顧問を勤める。
セレスティア学院では珍しく、校外に出ての活動を推進している。ダンス部と吹奏楽部が合同で施設の慰問を行ったり、大会に出場したりと、これらの部の部員は他の生徒より他校との交流経験が多い。

既婚者で娘が一人居る。しかし現在は男と駆け落ちし、ほぼ完全に絶縁状態。
娘はアトと同じく強い霊感を持っており、それが理由でアトのことを可愛がり、親代わりのような役割となっている。部の大会に出る時にアトを連れて行くこともある。(アトがストックと出会ったのは、このとき)


・ベロニカ
??歳/理事長

セレスティア学院理事長、正確な年齢を知る者はいないが、少なくとも80歳は超えていると思われる。
高齢だが未だ心身ともに健康で、学院の誰もが尊敬する理事長として、未だに現役を続けている。

息子夫婦は、一人娘のアトを残して他界。
孫であり後継ぎでもあるアトの教育に頭を悩ませる日々。

フォルガ寺のガルヴァ、武道家のマスター・ヴァンクールとは旧知の仲である。


◆株式会社シグナス(シグナス組)◆

建築会社。
元々は指定暴力団の下部組織に過ぎなかったが、現社長であるガーランドによって真っ当な一企業に生まれ変わったという経緯を持つ。このため、社員たちのガーランドに対する信頼は絶対。規模は小さいがガーランドを中心とした非常に強固な結びつきを持ち、昨今の不況も乗り越えて立派に業績を伸ばしている。


・ガーランド
39歳/社長

株式会社シグナス代表取締役社長。指定暴力団が経営していた会社を乗っ取ったとして、その筋では伝説的な人物である。
腕が立ち、頭も切れ、度胸も男気も申し分無しという人の上に立つために生まれてきたような男。当然社員からの人望は素晴らしく、彼を慕ってシグナス組に就職した者も少なくない。

以前に騒音問題が元でグランオルグ学園とトラブルを起こしたことがあり、その際にエルンスト・エルーカ兄妹と顔見知りになっている。彼らの才を高く買っており、親と折り合いの悪いエルンスト(ストック)の、諸々の保証人を引き受けたりもしている。


・ヘッジ

シグナス組の税理士兼相談役を務める男。
非常に頭が良いが、性格は小物。何度かガーランドの逆鱗に触れかけているが、税理士としての才能は確かなため、今のところ馘首は免れている。因みに社員にはあまり好かれていない。
趣味は装飾品収集で、アンティークや一点ものなどの高価で珍しい品を好む。しかもそれを自慢げに見せびらかすのが好きであり、それが嫌われる一因ともなっている。


・プラム

シグナス組社員。
元々空き巣やかっぱらいなどの窃盗を重ねるケチな悪人だったが、諸々あってシグナス組に就職することになった。
過去にふとした気まぐれで盗んだ金を養護施設に寄付したことがあり、就職した今でも時折義賊のような真似をすることがある。寄付時の名義は「砂漠のカラス」。


・ヘルツ

シグナス組社員。
コソ泥時代からの、プラムの弟分。プラムのことを非常に尊敬しており、彼の後なら火の中水の中、犯罪だってかまわず手を染めるある意味困った奴。
プラムが窃盗で失敗を重ねて落ち込んでいた時、シグナス組への就職を勧めたのも彼。プラムが元気で暴れているのが彼の最大の喜びらしい。



◆フォルガ寺◆

街外れに位置する、寺院兼武術道場。
道場ではあるが一般の入門は受け付けておらず、弟子入りするには厳しい試練に合格する必要がある。
規模はかなり大きく、師範であり住職でもあるガルヴァを中心として、数十人の門下生が生活している。


・ガルヴァ

フォルガ寺の師範であり住職。
年齢は不詳だが、少なくとも80歳は超えていると思われる。
ベロニカ、マスター・ヴァンクールとは旧知の仲。

他流試合を行ったガフカを破門して寺から追い出したが、その際ベロニカに就職の世話を頼んでいるなど、彼を気遣っている様子も見せている。


・ベルガ

フォルガ寺の師範代、ガフカの兄弟子。
面倒見がよく、他の弟子たちのまとめ役的存在である。
また、滅多にないことだが外の者と交渉を行う時、寺の代表として出席するのも彼の役目。



◆その他◆

・マスター・ヴァンクール

さすらいの武道家。
人間ばなれした戦闘能力の持ち主で、彼が本気を出せばフォルガ寺全員でかかっても敵わないであろう、と言われている。
神出鬼没で言っていることも謎めいている。各地に数人の弟子がいるらしい。

最強ではあるがかなりの高齢で、ベロニカ、ガルヴァとは若いころからの知り合いである。


・クレア

ピエールの妹で、地元小学校に通っている。
アルバイト、勉強、生徒会などでひたすら忙しい兄を助け、家事全般をこなす苦労人。
そのためか年に似合わぬ大人びた言動を取ることがある。


・リッキー

小学生だが、何故か良くグランオルグ学園に出入りしている少年。
生徒会メンバーとは顔見知りで、一緒になって活動していることが多い。
自分がまだ子供で、皆の役に立てないことを悔しがっている節がある。
以前グランオルグ学園とシグナス組がもめた時にガーランドと出会い、仲良くなっている。




2011.08.21 初出

RHTOP / RH-PARO TOP / TOP